臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「それはまずいかも……」

 康平は素直に認めた。亜樹はクスリと笑って康平に言った。

「だったら土日は、こっちの図書館へ来なよ。康平が寝てた時のノートも貸してあげるからさぁ」

「何か悪いなぁ。亜樹には助けて貰ってばかりで……」

「いやいや、そんな事は無いですわよ。君達のお陰で勉強がはかどってますからね」

「俺達の身を削ったパフォーマンスでか?」

「明日さぁ、友達も図書館に来るんだけど……いいかな?」

「別にいいよ。こっちが世話になる方だしさ。俺の方も、友達呼びたいんだけど……いい?」

「多分、この前いた健太君だよね。私、テンション高いコって得意じゃないんだけど……。ま、いっかぁ。彼にも勇気を貰っている事になるんだろうし」

「ワリィな。明日、灰色の青春をおくっている者同士で来るからヨロシク頼むよ」

「ちょっとー! 私の言った事を根に持ってない?」

< 92 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop