臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 学校に着いて部活は始まったが、康平は体に違和感を覚えた。

 体に力感がなく、いつもよりパンチが遅い。そして何より体がダルい。


 一年生達のシャドーボクシングを見ていた梅田は、康平達が聞こえるようにワザとらしい独り言をいった。

「俺が選手だったら、午前中に練習がある土曜日の朝に走ることはしないなぁ。……それと毎日走れと言われても週に一日は休むなぁ」


 走っている事を誰にも言うなと言った手前、梅田なりに助け船を出しているようだ。


 この日一年生全員は、ゆっくりシャドーをメインに軽めの練習をする事になった。

 どうやら動きが重いのは、康平だけではないらしい。


 こうしていつになく平和な練習が終わり、康平と健太は永山高校の近くの図書館へ向かった。

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