十AngelCross十
『坊っちゃん!…ルイ坊っちゃん!!』

『ん……』

スーツにエプロンと似やわぬ格好な男が
俺に強く呼び掛けた。

俺が目を覚ましたことに気づくと
彼はブツブツ文句をいいながら朝食の用意を
運んで来た。

『聞いておりますか、坊っちゃん?』

『………なんでいるんだ。』
軽く睨み付けながら言った。

男は笑みを返す。

『はぁ。やっぱりこうなるんだ…。言っただろ?ついてくるなって?これじゃあ自立の意味ないだろ。』

男は凹まずまだニコニコとお茶を注いでいる。

『料理は担当ではありませんのでお口に合うかわかりませんが、朝食くらいわ。』

『全く。せめて敬語は困る。もし友達に聞かれでもしたら……』

『はいはい解りました。』

男の笑顔を見るとまたため息が出た。



『学校はどうです?』

『うん、うまくやってる。』

『それはなにより。しかし何かあればいつでも戻って来て下さい。私とても寂しゅうございます。』

『月山はいっつも結局それなんだから。』

『坊っちゃん、そろそろお出にならないと学校が始まってしまいますよ?』


『ん、今日は友達がくる。俺が帰るまでに出ていってよ?』

そう言い洗面所に向かった。

『解りました。』


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