誇り高き
「何故、お前は隊士になりたい?」

土方は慎重に尋ねる。

「生きるため」

「隊士になれば死ぬ危険は高くなるぞ」

「構わない」

「構わなくないわっ!」

山崎が怒鳴る。

「紅河は、隊士になるってこと分かっとらん!あんたはどんな時でも生きなきゃあかんのやろ‼︎」

「舐めるなよ、山崎」

紅河の鞭打つ声に、部屋が静まり返る。

「…総司、取り敢えず近藤さんを呼んでこい。話はそれからだ」

「副長…!」

土方の言葉に山崎は、声を荒げる。

近藤さんを呼んでこい。
副長である土方は、局長である近藤勇に相談しなければ、決めれない。
だが、紅河が隊士になるのを反対していれば、そもそも近藤に話を持っていかないそれはつまり、土方自身は彼女の入隊に反対では無いと言うことだ。

山崎は、最後の砦だと思っていた土方の言葉に打ちのめされる。

その様子を見て紅河は唯、溜息をついた。



< 10 / 211 >

この作品をシェア

pagetop