誇り高き
墓参り
さくりさくりと落ち葉を踏み分けて、壬生寺に入ると掃除をしていた僧侶が頭を下げてくる。
私も頭を下げ返して、僧侶に尋ねた。
「新撰組隊士、楠小十郎の墓は何処にありますか?」
事件から一ヶ月と少しが経った頃。
紅河の部屋に何人かの隊士が訪れてきた。
「私達は死んだ楠小十郎と親しかった______」
彼等は名乗った後、これを……と紅河に紙を差し出してきた。
「これは?」
「私達もわかりません。ただ、生前に託されたんです。もし、自分が死んだら紅河隊士長にこれを渡して欲しいと」
小十郎が?
怪訝に思いながらもそれを受けとる。
「あと、これは私達からの頼みなんですが………」
「何ですか?」
「楠の墓参りに………行ってはくれないでしょうか」
「私が、ですか」
と、それまでひどく恐縮した風情だった隊士の一人がいきなり身を乗り出した。
「あ、あのっ。楠は、大変紅河隊士長を尊敬していたんですっ。僕の憧れだって。だから………っ」
おい……と周りの隊士が下がらせる。
「あ………し、失礼しました!!」
我に返ったように慌てて謝るその隊士。
紅河はそれまで下げていた目線をその隊士合わせた。
「楠のさんは、良い仲間を持っていたようですね」
「い、いえ。そんな…………」
「墓参り、ですが」
そこで一度区切りを入れて、
「時間のある時に行かせてもらいます」
ぱぁ……と隊士達の顔が明るくなる。