誇り高き
「ありがとうございます!」

隊士達が去った後、紅河は紙を開いた。

紙面にびっしりと書かれた小さい文字と、一枚の布が出てくる。

「『紅河さんへ』」

紅河は書かれた文字をゆっくりと読み出した。









『紅河さんへ。

この手紙が紅河さんの元へ無事に届いて良かったです。

いきなり、手紙を送りつけてすみません。

紅河さんは、私の事を覚えていますか?

同じ里の出身の、小十郎です。

あの頃のように、勝手に話させてもらいます。



僕は紅河さんに話しかける前から、ずっと紅河さんの事が気になってたんです。

里では紅河さんは色々な意味で有名でしたから。

悪い噂ばかりだったんですけど。

でも、僕はその噂を信じることが出来なかったんです。

だって紅河さん、見るたび悲しそうだったから。

皆は冷血で非情だって言ってました。

でも、僕には泣いているようにしか見えなかった。

それで、思ったんです。

本当は優しい人なんじゃないかって。

人殺しなんかしたく無いんじゃないかって

だから、僕は勇気を出して声を掛けて見たんです。

紅河さんですかって。

あの時の紅河さんは、凄い怖かったですよ

逃げ出したくなりました。

それでも、逃げ出さなかったのは遠くから見ていた紅河さんと違うものが見えたからなんです。

紅河さんの目は、凄く綺麗だった。

強い、光が見えた。

僕は、その光に惹かれたんです。

怖さなんか忘れてしまいました。

なぜ、そんなに綺麗なのか僕は知りたかった。
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