誇り高き

動乱ー池田屋ー

副長室にたどり着いた三人。

沖田が勢い良く戸を開ける。

「土方さん!」

普段ならば怒る土方も、今回だけは怒らなかった。

「座れ。お前らが最後だ」

三人が座ったのを確認すると、土方が口を開く。

「古高は…………」

皆がゴクリと息を飲んだ。

「……奴らの計画は『祇園祭の前の風の強い日を狙って御所に火を放ち、その混乱に乗じて中川宮朝彦親王を幽閉し、一橋慶喜・松平容保らを暗殺し、孝明天皇を長州へ動座させる(連れ去る)』出そうだ」

「「何だって⁈」」

あまりに畏れ多い行動に一同はど肝を抜かれた。

「御所に火を放つだと……!」

「そんなことをしたら、京全体が燃えるのと同じだ」

「いや、それよりも将軍と松平様を暗殺するとは」

「そのような計画、絶対に阻むぞ」

「皆落ち着け!」

土方でなく近藤が怒鳴る。

「計画を、阻止するなど当然のこと。大切なのはどう阻むか。今こそ冷静に行動するべきだ」

流石は局長、と言うべきか。

腕に自信のある強者達を一瞬で黙らせる気迫。

新撰組は土方がいなくては成り立たないがやはり近藤いなくとも成り立たないだろう

「近藤さんの言う通りだ。てめぇら冷静になりやがれ。作戦が立てれねぇだろうが」

「土方君。何か良い方法があるのかい」

山南の言葉に土方はにやりと笑った。

「あんたも得意のここを使うんだよ」

人差し指でトントンと頭を叩く。

「いいか。もし、仲間が捕らえられたとしたらてめぇらはどうする?」

「全力で奪い返すまで」

「そう。だから奴らはその為にきっと会合を開く」

「待ってください」

紅河が異議を唱えた。

「必ず奪い返すとは限らないでしょう。捨て駒である可能性もあります」

「例え捨て駒だったとしても、計画に古高が重要な位置にあった事は確かだ。それが俺たちの手に落ちたとなれば、これからどうするか、会合を開く可能性の方が高い」

全てを考慮済みで、その上で入念に計画を立てる。

もしものもしもまで想定に入れた作戦には抜け穴はなさそうだ。

「問題は会合を行う場所だ。池田屋と四国屋。この二つに絞れたんだが……」

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