誇り高き
どちらで会合を行うか。

流石にそこまでは土方もわからないらしい

「隊を二つに分けるしかないでしょうね」

だが、と土方は顔を歪ませた。

「隊士の数が足りねぇ」

「どういうことです?」

山南が問い返す。

「そのまんまだ。使える隊士が全部で三十五人しかいねぇんだよ。それを二つに分けるとなると………」

あまりの戦力不足にさしもの土方も策略がない。

「土方君は何方を予想しているんだい?」

「四国屋だ」

「ならば……」

近藤がかかと笑った。

「私の隊は十人で良い。その代わり、総司と永倉君、それに藤堂君を入れてくれ」

「な……っ!何言ってんだ⁈近藤さん」

「歳、駄目かい?」

「駄目って、かっちゃん。そういうことじゃないだろ⁉︎」

近藤につられて土方も昔の呼び方に戻る。

「なに、大丈夫さ。俺は歳を信用しているからな」

「だが……っ」

なおも言い募ろうとする土方を山南が押し留める。

「土方君。ここでもめている場合じゃないよ。君も近藤さんを信じなさい」

「く……っ。わかった。近藤さん、頼んだぜ」

「よし、じゃあ人を決めようか」












「……コホ………っ……」

隣から聞こえた小さな咳に、紅河はちらりと視線を向けた。

「厠に行くとでも言って、部屋を抜けたらどうです?」

紅河の言葉に沖田はふるふると首を振った

「………っはぁ。……大丈夫、ですよ」




見え透いた嘘を_______。





明らかに咳を堪えて苦しそうにしている顔で、嘘を吐く沖田に紅河は溜め息を吐いた

自分でもそのことが分かったのか、力無く笑いながら言葉をつなぐ。

「近藤さんが私を必要としてくれているんです。抜けるわけにはいきません」

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