誇り高き
紅河は僅かに眉を顰める。

「自分の体は自分だけのものだ。大切にしたほうが良い」

沖田はくすりと笑う。

「紅河さんだって、私と大して変わらないでしょう。他人の事だけ言って、自分には何も言わないのはずるい」

どちらも自分の病に心当たりがあって、けれどそれを他人に言わずに。

ひた隠している。

どちらも狡くて。

周りにばれないかと、常に警戒している


臆病で。

それでも______………

「沖田の気持ちは分からなくもない。だから、もう言わないよ」



気づいて欲しい。




「………今日の戦いが終わったら、ちゃんと皆さんに言います。医者にもいきます」



「そうか………」



紅河も沖田も似た者同士なのに。



紅河にとって、沖田は眩しく感じる。




沖田のように素直になれたらいい。




例え、何度戦いが終わろうとも。




私は己の心を偽ったままだ__________。


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