誇り高き
*
一方、池田屋。
「新撰組である!店主を出してもらいたいっ」
バンッと近藤が戸を開け大声で叫ぶ。
「は、はい。私でこざいますが……」
「御用改めである。邪魔立てすれば……斬る!」
近藤の言葉に、一斉に隊士達が刀を抜く。
「ひっ……!」
あまりの迫力に、店主は腰を抜かした。
這いつくばって、何とか階段に辿り着く。
「皆様……し、新撰組でございます!」
その店主の行動で、此処で会合が行われている事がわかった。
「御免!」
「ぎゃあっ」
事切れた店主を跨ぎ、近藤は二階へ駆け上がる。
「総司、コイッ」
「はい!」
程なくして二階からムッと血の匂いが漂ってきた。
階段からごろごろと人が落ちてくる。
それを一階に残った隊士達が迎え撃った。
「はっ!」
短い掛け声と共に永倉が鋭く突きを放つ。
「刺突技が得意なのは総司だけじゃねぇってよ!」
「その通り。新撰組八番隊組長藤堂平助、参るッ」
藤堂も袈裟がたけに斬る。
新撰組きっての剣豪の二人は瞬く間に長州藩士を斬っていく。
が。
「クソッ。斬っても斬っても減らねぇ。どうなってやがる」
圧倒的な戦力の差に、徐々に二人は追い詰められていく。
______まずい。動きが鈍くなってきた。
疲労で上手く体が動かない。
集中力もだんだんと薄くなってきた。
「土方さん達はまだか………!」
ちらりと永倉がすっかりと血で汚れた戸を見る。
それが、仇となった。
「八つぁん!前っ!!」
はっと永倉が息を呑む。
今にも己を切り裂かんと刃が目の前に迫っていた。
ガキィィーーーン。
相手の刃を受け止めた永倉の刀が根元から折れる。
ざくと親指と人差し指の間が裂けた。
痛い、と感じる間もなく体は勝手に動いた
折れた刀を捨て、脇差を抜くと鋭く刺す。
「はぁ……はぁ……。助かったぜ、平助………平助⁉︎」
振り返った永倉が見たのは、額を斬られて倒れる藤堂だった。
「平助ーーーーー!!」
夢中でとどめを刺そうとした長州藩士を斬る。
「死ぬなよ、平助………」
平助を守るために。
仲間を守るために。
永倉は萎えかけた気力を奮い立たせた。
「永倉新八の剣、味わせてやるよ!」
永倉は剣を構える。
「いざ、参るッ」
一方、池田屋。
「新撰組である!店主を出してもらいたいっ」
バンッと近藤が戸を開け大声で叫ぶ。
「は、はい。私でこざいますが……」
「御用改めである。邪魔立てすれば……斬る!」
近藤の言葉に、一斉に隊士達が刀を抜く。
「ひっ……!」
あまりの迫力に、店主は腰を抜かした。
這いつくばって、何とか階段に辿り着く。
「皆様……し、新撰組でございます!」
その店主の行動で、此処で会合が行われている事がわかった。
「御免!」
「ぎゃあっ」
事切れた店主を跨ぎ、近藤は二階へ駆け上がる。
「総司、コイッ」
「はい!」
程なくして二階からムッと血の匂いが漂ってきた。
階段からごろごろと人が落ちてくる。
それを一階に残った隊士達が迎え撃った。
「はっ!」
短い掛け声と共に永倉が鋭く突きを放つ。
「刺突技が得意なのは総司だけじゃねぇってよ!」
「その通り。新撰組八番隊組長藤堂平助、参るッ」
藤堂も袈裟がたけに斬る。
新撰組きっての剣豪の二人は瞬く間に長州藩士を斬っていく。
が。
「クソッ。斬っても斬っても減らねぇ。どうなってやがる」
圧倒的な戦力の差に、徐々に二人は追い詰められていく。
______まずい。動きが鈍くなってきた。
疲労で上手く体が動かない。
集中力もだんだんと薄くなってきた。
「土方さん達はまだか………!」
ちらりと永倉がすっかりと血で汚れた戸を見る。
それが、仇となった。
「八つぁん!前っ!!」
はっと永倉が息を呑む。
今にも己を切り裂かんと刃が目の前に迫っていた。
ガキィィーーーン。
相手の刃を受け止めた永倉の刀が根元から折れる。
ざくと親指と人差し指の間が裂けた。
痛い、と感じる間もなく体は勝手に動いた
折れた刀を捨て、脇差を抜くと鋭く刺す。
「はぁ……はぁ……。助かったぜ、平助………平助⁉︎」
振り返った永倉が見たのは、額を斬られて倒れる藤堂だった。
「平助ーーーーー!!」
夢中でとどめを刺そうとした長州藩士を斬る。
「死ぬなよ、平助………」
平助を守るために。
仲間を守るために。
永倉は萎えかけた気力を奮い立たせた。
「永倉新八の剣、味わせてやるよ!」
永倉は剣を構える。
「いざ、参るッ」