誇り高き
『ふんっ!沖田総司、口ほどにもないな」

沖田を見下ろして吉田が言う。

「お前が俺と松蔭先生の無念に勝てると思うてか!!!」

沖田は吉田に小さな傷を負わせることはできても、決定打となるものをあてることができない。

だんだんと少なくなっていく体力。

思うように動かない手足。

「五月蝿いですよ‥‥‥!」

再び鋭く突きを放つ。

だがそれも、いとも簡単に躱されてしまった。

「ハァ‥‥‥‥ハァ‥‥‥‥」

くそっ、自分の呼吸の音が五月蝿くて、戦いに集中できない。


沖田は自分が思っている以上に焦っていた。

私は、今までどうやって戦っていた?

頭の中が真っ白になる。




どうすれば、どうすれば。




最早、吉田の剣を受け止めることが精一杯で。




何度目か、刀を受け止めた時。





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