誇り高き
本当は紅河は今にも倒れそうだった。
悲鳴を上げる体を酷使し、寄りかかって立っているのもやっとで、気力で意識をなんとか持たせていたのだ。
………何故、誰も上がってこない。
気力も限界に達した時。
やっと、一つの気配が階段を登ってきた。
「………斎藤」
斎藤は倒れている沖田を見ると、血相を変えて、駆け寄ってくる。
「総司。大丈夫か」
険しい顔をして、紅河を振り返る。
「何があった?」
「私も途中から来たから分からないよ。詳しくは、本人に聞いた方がいい」
取り敢えず運んでやれ、と紅河は顎をしゃくる。
斎藤は無言で頷いて、沖田を抱えた。
斎藤が階段を下りていくのを確認して、紅河はずるずると倒れこんだ。
先程まで紅河を苛んでいた、身体中がばらばらになりそうなほどの痛みは、もう感覚が麻痺して感じなくなっていた。
すっと意識が薄れていく。
「莵……毬…。追いて……かない…で」
最後に紅河が見たのは、去っていく莵毬の背中だった。
悲鳴を上げる体を酷使し、寄りかかって立っているのもやっとで、気力で意識をなんとか持たせていたのだ。
………何故、誰も上がってこない。
気力も限界に達した時。
やっと、一つの気配が階段を登ってきた。
「………斎藤」
斎藤は倒れている沖田を見ると、血相を変えて、駆け寄ってくる。
「総司。大丈夫か」
険しい顔をして、紅河を振り返る。
「何があった?」
「私も途中から来たから分からないよ。詳しくは、本人に聞いた方がいい」
取り敢えず運んでやれ、と紅河は顎をしゃくる。
斎藤は無言で頷いて、沖田を抱えた。
斎藤が階段を下りていくのを確認して、紅河はずるずると倒れこんだ。
先程まで紅河を苛んでいた、身体中がばらばらになりそうなほどの痛みは、もう感覚が麻痺して感じなくなっていた。
すっと意識が薄れていく。
「莵……毬…。追いて……かない…で」
最後に紅河が見たのは、去っていく莵毬の背中だった。