誇り高き






目を逸らし続ければ。

逃げ続ければ。

光だったはずの希望は、影に変わっていた

何度でも希望が潰されようとも。

何度でも立ち上がる事が出来たのは。

____潰して欲しかったから。

____希望を潰して欲しかったから。





兄上。

貴方は気付いているか?

兄上が壊してきたものは、幸せなんかじゃない。

表面は幸せと見せかけて、中身はすっからかんの虚。

私は、幸せなんかとうに手放している。

ずっと、ずっと前に。

私の幸せは。

______誰も傷付けない。

ただ、家族と暮らすこと。

それだけで、私は幸せだった。

でも。

でも______




そ ん な 幸 せ 手 に 入 ら な い





わかっていた。

それは、自分が望んでいい幸せじゃないことくらい。

それは、自分が得られる幸せじゃないことくらい。

だから、せめて夢を見ていたかった。

あまりにも現実とは遠くて、切ないほど愛おしい夢を。

ずっと、夢を見ていたかった。

出来ることなら、永遠に。

それが、叶わないのならば。

一人、暗闇の中に落ちていこう。

光すらも届かぬ闇の底で、ただ一人、生きていこう。

さようなら。

たった一言。

その一言を言うのが辛くなる前に。

私は貴方達の前から、消えなくてはならない。

それが、定められし運命。

掟と言うものなのだから。












「私はもう、逃げません」









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