誇り高き
静かに、しかしはっきりと沖田は言った。
「ずっと、迷っていました。紅河さんに会うべきか、どうか。迷って、迷って、でも決めました」
昨日、沖田が斎藤に眩しいと感じた光。
その光が、今沖田にも宿っていた。
「どんな結果になろうとも、私は逃げません。向き合います。だから、お願いします。紅河さんに合わせて下さい」
ほんま、この人達は……。
目を閉じて、宇治は淡い笑みを浮かべた。
「紅河はんを、お頼みいたします。二階に。様子を見に行って下さい」
自分では、叶わない。
宇治は、身に染みて分かってる。
何日紅河に呼び掛けようとも、彼女は何一つ反応を返さなかった。
でも、彼らが来たとき。
僅かに、紅河の指先が動いたから。
もう、宇治は彼らに賭けるしかない。
それは、悔しい。
だけど、彼女を想う気持ちは変わらないから。
そして、その気持ちはきっと彼女に伝わってるから。
それだけで、宇治は。
劣等感なんか吹き飛ぶくらい。
満足なのだ。