誇り高き
紅河の目尻から、一粒の涙が落ちた。
ぽとん。
遠くのどこかで、蹴り飛ばした希望の落ちる音が、聴こえた。
光は私を包んで、更に強く輝く。
影を消し去ろうとするように。
「………眩しい」
久し振りに出した声は、自分でも驚くほど掠れていて弱々しかった。
____『どんな手を使ってでも生き延びなさい』
母上。
私は10年間貴女の教えを守ってきた。
でも、母上。
私は一人では生きていけない、弱い人間なんだ。
貴女達のような、大切な人達がそばにいないといけていけない。
皆んなで、生きたいから。
もう、一人は嫌だから。
方法は一つしかない。
でも、その方法は。
あまりにも、辛い。
覚悟なんて、ない。
でも、もう決めないといけない。
刀を手に。
生きよう。
ぼろぼろになっても。
名前を呼んでくれる人がいる限り。
生きよう。
苦しくても。
それでも私は。
まだ、死ぬわけにはいかないから。
「紅河さん……っ」
光が弾けた______