誇り高き




佐幕派だろうが、倒幕派だろうが。



そんなことは、どうでもいい。



全てを終わらす。




ただ、それだけ。




誇り高き、皇衆として。




「捧げる華は、百(もも)だけでは足りない。もう二輪、必要だ」



______目を閉じれば。



視界いっぱいに、真っ赤な華弁が舞い散っていた。




唐紅。



禁色で、身分の高いものしか纏うことは許されない。


その紅の華弁を、全身にまとった少女。



纏った瞬間、彼女は皇衆(すめらぎしゅう)の末裔となった。



人身御供として、その身を捧げる運命へと巻き込まれた。



「……蜻蛉なんて、存在しない……」




最強の忍。


それは、蜻蛉でも白い鬼でもなく。


紅の華弁が舞う下で立ち尽くしていた、國の闇を背負う、まだ幼い少女なのだ。








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