誇り高き






俺は、一体何をしたかったのか。

それすら、もうわからない。

すみません、松陰先生。

こんな、不出来な弟子で。

“それは違う、久坂君”

「えっ?」

“大事なのは、何かを成すことじゃない。
何かを成そうとする、その心だ”

「……松陰……先生……?」





ああ、俺は。

貴方なしでは生きられないのに。






何で、前を向かせる言葉しか言ってくれないのか。


貴方の元へ行かせてくれないのか。



まだ、生きねばと。



貴方がいない空っぽの世界で。




それでも、生きねばと。



「………お前が羨ましいよ、稔麿」



松陰先生の元に行けたお前が。



遠く大きく青い空。



強く、強く吹く風。



どんなに時が経とうとも、自然は変わらないのに。


俺は、人間という生きものは、絶えず何かを失っていく。


ぽろりぽろりと欠けていく。



もう、どこに落としたかすらわからない_______。






気が付いた時には、もう俺には何もない。



ただ、1人_________…………。






「………久坂」



風に乗って聞こえた小さな声は。



何故だろう、どうしようもなく。




胸が痛むんだ。







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