誇り高き
希望なんかないと、そういう目をしながら。
それでも僅かな希望を抱いている奴らは。
「死んで、成せることなど。一握りもあるまいよ」
誰よりも、毅い(つよい)。
薄命だからこそ、なお美しく輝く。
「誰だ、お前?」
真っ白な髪を熱い風にたなびかせながら、まっすぐに久坂を見つめ。
妖艶に微笑む、その人。
「皇衆が一人、紅河。……とでも言っておこうか」
「皇……衆……だと……?もう滅んだはずではなかったのか」
口許には妖しい笑みをたたえたまま。
目だけが鋭く久坂を射抜く。
「あの時、完全に滅んでいれば。未来はもっと変わっただろうな」
紅河も菁華も莵毬も。
あの時にもう、死んでいれば。
もっといい未来が、あったかもしれないのに。
それでも、生き残ってしまったから。
死にそうな体を抱えて、死にたがりの魂を持って、それでも生き残ってしまったから。
苦しみながらも、生きるしかないのだ。
なんて、残酷な運命なんだろう。
なんて哀しい運命なんだろう。
生き残ったとて、そこに何かがあるわけではなく。
絶望すらない闇の中で、手探りで歩むだけ。
手は、何度も宙を掴み。
何度も、足は縺れ。
支えは得られず、倒れるだけ。
何度起き上がろうとも、それは変わらず繰り返される。