誇り高き
彼女の家族であろうと。

そして。

誰よりも。

「俺は、俺を赦さない」

決して。

それは、違えることのない。

胸に刻み込んだ誓いだ。

「……ならば、余を止めてみるか。この国の闇を、消してみるか」

嘲りさえも、打ち消すように。

「やってみるが良い」

莵毬は黙って踵を返した。

帝など、彼を止める程のものでもない。

彼を止められる者は、一人しかいない。


紅河の肩が小さく震えていた。

泣いている、ようだった。






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