誇り高き
後悔のないように、生きてきたつもりだった。
いつ死んでもいいように、覚悟してきたつもりだった。
それでも、何かもっと。
いい選択があったのではないか。
叶うなら、戻りたい。
何も知らなかった、あの頃に。
純粋なままでいられた、あの頃に。
無邪気に笑っていられた、あの頃に。
声を上げる笑い方は、もう忘れた。
声を上げる泣き方は、知らない。
互いに、こんな屈折した方法でしか。
苦しみを吐き出せない。
癒してもらうために。
無防備に傷を晒す勇気はない。
濁り、澱み、沈んでいくそれを。
ただ、黙って見ていることしか出来ない。
合わせた背中は、まだ互いに震えている。
涙が枯れても。
ずっと、二人はそのままでいた。
それが、最後だった。
二人が酒を飲み交わした夜は。