誇り高き
ずっと俯いている紅河に、斎藤は声をかけあぐねていた。
其れでも、勇気を出して斎藤は声をかけた
「紅…」
「紅河、斎藤。そんなとこにいたのか!!大変なんだ。早く来てくれ!!」
しかし、その声は駆けて来た永倉によって遮られた。
しかも永倉、かなり焦っているようて。
何も説明しないまま、二人を引っ張って走り出した。
「永倉?どうした?」
「話は後だ。急ぐぞ!!」
理由は分からないが、兎に角大変な事が起こっている。
そう判断した斎藤と紅河は、走る速度を一気に上げた。
「お、おいっ」
あっと言う間に永倉を抜かした二人に、慌てて永倉は場所を言った。
「大和屋だっっ」
紅河は、だんっと屋根の上に跳び乗った。
大和屋の方に目を凝らせば、火が燃え上がっているのが見えた。
更には、大砲までもがある。
_____何故、店に大砲を?
「紅河、何をしてる!」
急げ、と手振りで示す斎藤。
紅河は、屋根伝いに走り出した。