誇り高き
新見の死を聞いた芹沢は、部屋に篭っている。
酒を飲みに行くこともしない。
やはり、それだけ新見の存在は大きかったのだ。
「なぁ、歳。これからも、こんな辛い事があるんだろうなぁ」
「そうだな、近藤さん」
計画通りに事が進んでいるとは言え、喜ぶ気にはなれないのだろう。
二人はしんみりと酒を酌み交わしている。
「私は、仲間を一人も殺したくないよ」
「………そう、だな」
「だが、きっと俺たちは、仲間を手に掛けていくんだろうな」
誰一人として仲間を失いたくない。
其れを思っていることは真実で。
けれど、犠牲なしにはいけないと思っていることもまた、真実なのだ。
‘‘仲間を失いたくない”
綺麗事なのだ。
そんなことは。
わかっている。
わかっているけれども。
「………やはり私は、仲間を殺したくはないよ」
黙然と、空を見上げれば。
細い、細い三日月が空に浮かんでいた。