誇り高き
例え、隊のためであろうとも仲間に刀を向けることは、正しいのでしょうか。
芹沢暗殺を言い渡された時も、私は震えが止まらなかった。
何故、同志を殺さなければいけない?
確かに、芹沢さんは目に余る行動が多かった。
我々近藤派の邪魔になるだろうとも分かっていた。
それでも、彼は共に戦った仲間だ。
だって、向かう先は違くても志は同じだっただろう。
私は、貴方の優しさを知っていた。
壬生寺で子供と遊んであげていたことを。
隊士の失敗を庇っていたことを。
貴方が沢山の人達に慕われていたことを。
………知っているからこそ、私は貴方を殺せそうにない。
土方君も沖田君も原田君も、何故そんなに躊躇いもなく殺せるのだ。
私には、わからない。
______わかりたくない。
あの日以来、刀を持つ手が震える。
刀を持てなくなった私は、一体何なのでしょうね。
あぁ、すみません。
芹沢さん。
私は、貴方の様に覚悟を持つことは出来ない
どうか、どうか、卑怯な私をお許しください。
________しょうがねぇな、山南。
そう言ってくれる貴方ももういないのですね________。