誇り高き






もう、後には戻れない。






なぁ、芹沢さん。

なんであんたは、最期にあんなこと言ったんだ?

なんであんたは、殺されることを分かっていて、それを受け入れた?

なんであんたは_______




なんで俺は、あんたを殺さなきゃいけなかった?





近藤さんの為に鬼になると決めたのに、こんなにも心は揺らぐ。

俺は、本当はあんたに生きていて欲しかったんだ。

本当は殺したくなかったんだ。

たとえ、会津の命令であろうとも。

本当は、本当は………



芹沢さん。

貴方は、こんなにも大事な人だった。

多くの隊士が、貴方の死を悲しんだ。

多くの隊士が、貴方の事を慕っていた。

何よりも、俺が________




貴方の死を悲しんだ。

そして、貴方の事を慕っていたことに気付いた。




俺が、こんな事を思う資格はないのだけれど。




芹沢さん。

最期に酌み交わした酒は、最高にうまかった。

もう一度、もう一度だけでいいから、



また、あんたと酒を飲みてぇよ。













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