誇り高き



鬼さん此方、手の鳴る方へ。


__________________
_____________
_________

「総司、蜻蛉の様子はどうだ」

整った顔の眉間に皺を寄せ、卓上の文を睨んでいる男が、吐き捨てる様に言う。

「相変わらずですね」

縁側に寝転んだ、総司と言う男___此方も中々の美青年___が肩をすくめて答える

「気になるなら、様子を見に行けば良いのに」

「ふん」

「鬼の副長とまで言われる人が、女子を怖いなんて。くくっ、ねぇ土方さん?」

「誰が怖いだって?見に行く暇が無かっただけだ。それから総司。女子とは限らん油断をするな」

「してませんよ。じゃあ私は様子を見に行って来ますよ」

すくり立った美青年に男は鋭い眼光を浴びせ掛ける。

「待て」

「何ですか?土方さん」

「俺も行こう」

ついに鬼のお出ましか。
美青年、もとい沖田総司は嬉しそうにわらった。
< 6 / 211 >

この作品をシェア

pagetop