誇り高き

新撰組

「本日から、壬生浪士組改め新撰組と名乗る。右の紙には組の編成、左の紙には局中法度が書いてある。皆、確認しておくように。また、今夜は島原の角屋で祝宴だ!!」

「「「おぉーーーー!!!」」」

弱いくせによく飲む奴らだと、紅河は苦笑を浮かべた。

飲むだけ飲んで、明日は二日酔いに苦しめられるのだろう。

己は二日酔いになったことが無いので、どの位苦しいのかはわからないが。

だが、今回は祝宴だ。

少し位、羽目を外すのも良いのかもしれない。

「………いや、少しではないな…」

思えば毎度毎度、羽目を外しまくっている気がする。

隙あらば、宴会まがいのことをやっているしな。

その度に後片付けに繰り出される紅河と斎藤にとっては良い迷惑なのだが。

「紅河、お前副長助勤に昇格してるぞ!」

副長助勤。

それは、沖田、永倉などの組長や山崎など幹部のことだ。

「良かったな」

ばしばしと背を叩く原田の手を払いのけながら、紅河は苦笑を笑みに変えた。

「そうですか。ありがとうこざいます」

「何だ。随分と冷めてるじゃねぇか。嬉しくないのか?」

紅河は瞬きを一つした。

「いえ、これでも喜んでいるのですが」

「そうかぁ?」

「そうですよ」

幹部になれば、いろいろと自由になる。

平隊士は、意外と拘束が多いから。

「ふーん。まっ、これからもよろしく頼むぜっ!!」

最後に紅河の背を思いっ切り叩く。

「……げほっげほっ」

「あ、悪りぃ。強く叩きすぎちまったか」

激しく咳き込む紅河。

ぽりぽり頭を掻く原田。

「原田さん。試合のお相手をお願いしますね」

「え?えーと……あー、今日は遠慮「は要りませんよ」

「はい………」

その後、原田はきっちり絞られたらしい。

隊士曰く。

あの原田隊長が小さく見えました。

だそうだ。
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