誇り高き
その夢はとても幸せで。
まだ、覚めたくなくて。
微睡んでいる。
そんな状態なのだ。
山崎は紅河の頭を撫でていた手を止めて、彼女の額を指で弾いた。
「莵毬……?」
「夢じゃ、ないだろう?」
紅河は左手で額をさすりながら、
「古風だな」
と苦笑いをした。
「寝呆けているようだったからな。俺達が今まで過ごしてした日々が、夢だったなんで笑えないぞ」
死に物狂いで生きてきた日々が夢だなんて
「そう、だな」
夢じゃない。
額に残る感触を撫でながら、紅河は口を結んだ。
彼奴らに会うまでは、これまでの事すべて夢であればいい、そう思っていた。
けれど、今は夢であって欲しくないと思う。
酷く、勝手だ。
私は、とても身勝手でとても臆病で。
怖いのならば、知らなければ良いのに。
自ら首を突っ込んで、震えている。
「………馬鹿だな、私は」
「何を基準に言っている。言っとくが、この世に天才なんてものはいないぞ」
「は?」
山崎が、何を言っているのか紅河はついて行けない。
「天才がいなければ馬鹿もいない。裏がなければ表が無いように」
「何を言っているのか、さっぱりわからん」
「わからなくていい。………そろそろ寝ろ」
「ん………」
うつらうつらとし始めた紅河に気付いて、山崎が言う。
目を閉じた紅河は、すぐに浅い寝息を立てて眠った。
しばらくその様子を見ていた山崎は、もう一度その頭を撫でると立ち上がる。
まだ、覚めたくなくて。
微睡んでいる。
そんな状態なのだ。
山崎は紅河の頭を撫でていた手を止めて、彼女の額を指で弾いた。
「莵毬……?」
「夢じゃ、ないだろう?」
紅河は左手で額をさすりながら、
「古風だな」
と苦笑いをした。
「寝呆けているようだったからな。俺達が今まで過ごしてした日々が、夢だったなんで笑えないぞ」
死に物狂いで生きてきた日々が夢だなんて
「そう、だな」
夢じゃない。
額に残る感触を撫でながら、紅河は口を結んだ。
彼奴らに会うまでは、これまでの事すべて夢であればいい、そう思っていた。
けれど、今は夢であって欲しくないと思う。
酷く、勝手だ。
私は、とても身勝手でとても臆病で。
怖いのならば、知らなければ良いのに。
自ら首を突っ込んで、震えている。
「………馬鹿だな、私は」
「何を基準に言っている。言っとくが、この世に天才なんてものはいないぞ」
「は?」
山崎が、何を言っているのか紅河はついて行けない。
「天才がいなければ馬鹿もいない。裏がなければ表が無いように」
「何を言っているのか、さっぱりわからん」
「わからなくていい。………そろそろ寝ろ」
「ん………」
うつらうつらとし始めた紅河に気付いて、山崎が言う。
目を閉じた紅河は、すぐに浅い寝息を立てて眠った。
しばらくその様子を見ていた山崎は、もう一度その頭を撫でると立ち上がる。