トキトメ
突然のキス
 今晩7時から、3か月間の試用期間を終えた後輩、前田良太郎の歓迎会がある。
 
 仕事が終わった社員から先に、予約してある居酒屋へと向かう中、私、椛島律子、
仕事が終わりましぇーん。
 


 私は、高校を卒業してからずっとここエヌ・エスロジスティクスサービスで働い
てきた。

 年数を重ねると、よほど働きが悪くない限り、自然と責任のある仕事を任される
ようになり、2年前から倉庫1課のリーダーを務めている。

 そうは言っても、同じ部署には私の上に課長がいて、彼が上手くリードしてくれ
るので、リーダーとは名ばかりな存在だ。

 たまに面倒な仕事が入って頭を悩ませなくちゃいけない事もあるけど、課長のよ
うに胃薬とお友達という事もなく、元気に働いている。

 このままずっとここで働いていたら、いずれ私も課長になるのかなぁ?

 それまで独り身っていうのも悲しい。

 唯一残っていた親友も、去年の暮に駆け込み結婚みたいに籍を入れて、あっとい
う間にアメリカに行ってしまった。

 そして、残されたのは私だけ。

 焦る気持ちも確かにあるけれど、こればかりは縁だもの。

 時期が来たら運命の人に出会えるに決まってる。

 そう信じて生きて来たけど、考え直した方がいいのかなぁ?
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