トキトメ
~律子side~
「駅までで、いいんですね?」
「はい。お願いします」
私はバッグから携帯を取り出すと電話を掛けた。
今晩泊めてくれる友達を探して電話してみたものの、家庭持ちの友達からは迎えてもらえなかった。
やっぱりそうだよね。
独身の友達がいたらいいんだけど、あいにく私が最後の独身。
他はみんな結婚しちゃった。
「泊めてくれる人、見つかりましたか?」
私は首を横に振った。
「駅前のホテルにでも泊まります」
「あの、僕がこんな事言うのもなんですが、良かったらうちに来ませんか?」
「えっ?」
「大丈夫。下心はありませんから」
「塚田さん・・・」
「前田君と何かあったんでしょう?」
「彼、隣りの部屋から出て来たんです」
「えっ?」
「隣り、同じ部署の崎田さんが住んでいるんです」
「崎田さんって、こないだ入社した女の子ですよね?」
「彼女とは何もないって言うけど、彼女、バスタオル1枚だった。それで何も無いって言われて信じますか?」
「・・・」