トキトメ
「少し時間を置きたいんです」

「わかりました。それじゃ、僕の家に泊まって下さい」

「本当にいいんですか?」

「はい。遠慮なく」
 


 彼のマンションは、うちより1部屋多い、2LDKの造りだった。

 インテリアは黒を基調としたモノトーンで統一され、綺麗に片付いていて、塚田さんらしいなと思った。

「僕のベッドを使って下さい」

「塚田さんは?」

「僕はソファーで寝ます」

「すみません。ご迷惑おかけして」

「気にしないで下さい」

「あの、トイレどこですか?」
 
 何だか気分が悪い。

 残業続きで疲れが溜まっているのかな。

「顔色が悪いな・・・大丈夫ですか?」

「うっ」

 口元を抑えるとトイレに駆け込んだ。

「椛島さん!」

 彼は、吐き始めた私の背中をさすってくれた。

「大丈夫ですか?」 

「すみません。もう大丈夫です」
 
 そう言って立ち上がった瞬間、目の前が真っ暗になった。
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