トキトメ

 ~律子side~

 
「椛島さん、具合はいかがですか?」

「塚田さん、来て下さったんですか? 夕べからご迷惑をお掛けしっぱなしですみません」

 時刻は20時を回っていた。

 本当なら面会時間を過ぎていたけど、身内という特権で自由に病院内を行き来している。

 彼のお姉さんも、彼同様優しい人で、すっかり甘えてしまってる。

「だいぶん顔色も良くなりましたね。朝は血の気のない、青白い顔をしておられたから」

「ええ。まだ身体を起こすとふらふらしますが、気分は良くなってきました」

「良かった。あっこれ、前田君から預かって来ました」

 彼は手に持っていた紙袋を差し出した。

「良くんから?」

「彼、とても心配していましたよ」

「そうですか」

 良くん、ごめん。

 心配かけてごめん。

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