トキトメ
「・・・塚田さん。彼に電話して来てもらえますか? 私が会いたがっていると」

「もちろんです」

 彼は駆け出すように病室から出て行った。



 しばらくして、律子の耳に、廊下を走ってくる足音が聞こえた。

 病室の入口で、はあはあ息を切らしている良くん。

 彼の姿を見たら、止っていたはずの涙が溢れてきた。

 私ったら、どうしてこんなに涙もろくなっちゃったの?

「良くん・・・」

「律ちゃん、身体はもう大丈夫なの?」

「うん。ごめんね、心配かけて」

 良くんから抱きしめてもらう。

 やっぱり、良くんがいないとダメだ。

 私の涙が止った頃、彼は頭をぽんぽんと叩いて体を離した。

「良かった。倒れたと聞いた時は、生きた心地がしなかったよ」

「大げさねぇー」

「本当に、心配したんだからな」

「ごめん」

「塚田さんは?」

「さっきまで居てくれたけど、帰ったわ」

「あの人には、本当に感謝してるよ」

「私もよ。今度2人でお礼しなきゃね」

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