トキトメ
「そうだね。俺さ、やっぱり律ちゃんがいないとダメだ。こんな所で言うつもりじゃなかったんだけど、俺と結婚して欲しい」

「良くん?」

 えっ? 今、プロポーズしてくれたの?

 結婚?

 この私と?

「俺のような年下の頼りない男、結婚の対象とみてくれてないと思う。本当はもっと一人前になって、律ちゃんに認めてもらえる男になってからプロポーズするつもりだったんだ。でもダメだ。今すぐにでも一緒になりたいんだ」

「私の方こそ、あなたは結婚の事なんか全然考えてないと思ってた。強要するつもりも無かったし、一緒に暮らせるだけで満足だった。でもね、やっぱり私もあなたとずっと一緒にいたいの」

「律ちゃん、結婚しよう」

「うん。それとね、もう1つお願いがあるの」

「何?」

「この子の、パパになってくれる?」
 
 私が、愛おしそうにお腹を撫でると、彼は驚いた顔をした。

「もしかして、子供が出来たの?」

「うん」

 彼の顔が、驚いた表情から満面の笑みに変わるのに、時間はかからなかった。

 私の不安も同時に消えた。

「律ちゃん!」


< 120 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop