トキトメ
 彼は、再び私を抱きしめた。

「ちょっと良くん、そんなに力を入れたら苦しい・・・」

「ごめん・・・」

「あらあら、お邪魔だったかしら?」

 そこに現れたのは、塚田さんのお姉さんだった。

「先生・・・」

「あなたがお腹の赤ちゃんのパパかしら?」

「はい! そうです!」

 あまりにも元気な返事に、彼女は吹き出した。

 私もつられて笑う。

「どうやら円満に出産が迎えられそうね」

「はい!」

「それにしても、若いパパね。椛島さん、姉さん女房になるのかな?」

「はい。10歳も年上の姉さん女房です」

「うらやましい。どうしたらそんなに若い彼氏を捕まえられるの?」

「先生、年下がお好みですか?」

「そりゃー若い方がいいわよ。私も頑張らなくっちゃ」

「応援しています」

 先生が出て行くと、再び抱きしめ合った。

 
< 121 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop