トキトメ
 それから3日経って、自宅に戻った。

 貧血はおさまったけど、つわりがひどくて、仕事にはしばらく復帰出来そうになかった。

 私がうちにいる間の気分が良い日を見計らって、彼を両親に会わせた。

 行く前は、私を妊娠させてしまった事で、父親に怒られると思い覚悟していた彼だったけど、意外にもあっさり認めてくれて、私まで拍子抜けした。

 33歳になる娘が、この先嫁に行けるのだろうかと心配していた両親は、孫が出来る事まで知らされると、怒るどころか彼との結婚を喜んでくれた。
 
 イケメン好きの母親は、良くんにハートの眼差しを向けちゃうし、この後少々不安な気もする。

 逆に、私が彼の両親に挨拶に行った時も、よく出来た嫁になりそうだと歓迎してくれた。

 実は彼の家も、母親が3歳年上の姉さん女房だった。
 
 それから彼は、今まで以上に熱心に仕事に取り組んだ。

 残業続きだったけど、疲れたそぶりはまったく見せず、私が夕食を作って待っているので、安心して働く事が出来た。

 塚田さんの仕事ももう完璧にこなせるようになったようで、今では営業2課の他の仕事にも関わるようになったらしい。

  

 崎田さんは、試用期間が終了する前に会社を辞めた。

 そして、私達に何の挨拶もなく、どこかへ引っ越してしまった。

 

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