トキトメ
 ようやく事態が飲み込めたのか、オフィス全体が驚きの空気に包まれた。

「お2人さん、いつからそういう関係だったんですか?」

「うん? 良くんの歓迎会の日から」

「り、りょうくん???」

「何だか照れくさくて、今まで隠してたの。でも、これからは遠慮なくいちゃつくから」

「ちょっとリーダー」

「まあ、それは冗談だけど、これからも私達を宜しくお願いします」

 2人で頭を下げた。

 どこからともなく拍手が巻き起こる。

「あれっ? 椛島さん、出社されてたんですか?」

 ドアの方に目をやると、塚田さんが立っていた。

「塚田さん、本当にお世話になりました。私達、正式な夫婦になる事が出来ました。これからも、宜しくお願いします」

「そうですか。おめでとうございます。赤ちゃんは、順調ですか?」

「はい」

「塚田さん、2人の関係、ご存知だったんですか?」

 大賀が尋ねる。

「ええ、まあ」

「なーんだ。気づいてなかったのは、私達だけか・・・あっ、課長は?」

「知らないわ」

「課長が聞いたら、腰抜かすかもね」

「そうだ、今度はみんなで課長に隠しとこうぜ。塚田さんも、協力して下さい」

 男性社員は、いたずらっこのように目を輝かせた。
 
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