トキトメ
 彼がクスクスと笑う。

 その笑顔にドキッとした。

「そう・・・。俺、優しくするから」

「・・・」

「大丈夫。そんなに力を入れなくていいよ」

「前田くん・・・」

「俺の事も、名前で呼んでよ」

「だったら、良くん。あのね、私・・・その・・・」

 唇が塞がれた。

 優しいキス。

 そして、胸元に広がる解放感。

 それから、彼の手が胸に触れた。

「良くん!」

「何?」

「私、ホントは初めてなの。33歳にもなってバージンだなんて、笑っち
ゃうでしょ? だからその・・・何も分からなくて」

 言っちゃった。

 きっとさめるよね。

 本当は、年上の私がリードしなきゃいけないのに、そんなノウハウ、私にはあり
ません・・・

「しーっ。後は俺に任せて」

「良くん・・・」
 

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