トキトメ
 そうだ。

 彼が起きないうちに服を着なきゃ。

 静かに洗面所へ行って、バッグに押し込んだ服を出す。

 あちゃ・・・

 夕べ慌てて入れちゃったから、皺だらけになってる。

 どうしよう?

 下着はなんとか着られたものの、ブラウスとスカート、これは無理でしょ。 

「おはよう・・・」

 振り向くと、目をこすりながら立ってる彼がいた。

 下着を着終わってて良かった。

 いくら彼と寝たからって、裸を見られるのが平気になったわけじゃないもの。

「おはよう。これ、どうしよう・・・」

 私は、くしゃくしゃになった服を胸の前に広げた。

「あーちょっと待ってて」

 しばらくして戻って来た彼の手には、何やら服が握られていた。

「こんなのしかないけど」


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