トキトメ
「いいの?」

 彼が貸してくれたのは、白地に英文字がプリントされたTシャツと、黒いハーフ
パンツだった。

 私はそれに着替えると、顔を洗って彼が待つ部屋に戻った。

「ありがとう」

「コーヒー飲む?」

「うん」

 ローション、持ってくれば良かった。

 すっぴんでいるのは恥ずかしかったけど、ローションもクリームもつけずに、
いきなりファンデーションというのには抵抗があって、このままでいることにし
た。

「どうぞ」

 マグカップを抱えて戻って来た彼から、そのうちの1つを受け取った。

「ありがとう。頂きます」

 彼と並んでコーヒーを飲む。

 夕べ、アイスを食べたのと同じ、ベッドの隅っこだ。

 
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