トキトメ
「男の押しには負けるって? それじゃ、俺みたいな男が現れたら、そっちに行っ
ちゃう?」

「ううん。それはない」

「律子さん・・・」

「実は私もね、あなたが入社して来た時からカッコ良くて癒し系の子だなと思って
たのよ。でもね、恋愛の対象としては見れなかった」

「それでも嬉しいよ。少しは気にしてくれてたんだとわかって」

「座ってて。着替えてくるわ」

「うん」

 部屋には、ウォークインクローゼットがある。
 
 あちこちに収納が無い代わりに、衣装と普段使わないものは全てここに入ってい
た。

 だから、部屋にタンスを置く必要もなく広く使える。

 普段はここから出した服を部屋で着替えるけど、今日は彼がいる。

 クローゼットの中は電気もつくし、ちょっとした試着室のようだった。

「お待たせ」

「いいね、広い収納があって。中、見てもいい?」
< 36 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop