トキトメ
「まあそう言わずに、早く座れ」

 課長に急かされた私は、縦長にセッティンしてあるテーブルの真ん中あたりま
で行って腰掛けた。

 掘りごたつ式のテーブルは、足がしびれなくて助かる。

 今日は、倉庫1課に配属された前田くんの歓迎会って事で、10人掛けのテー
ブル2つで間に合っているけど、会社全体の飲み会となると、ホテルの宴会場を
貸し切ってやる場合もある。

 私が入社した時は今より規模が小さかった。

 だけど今は、系列の会社を合わせると、何百人の社員がいるのかよくわからな
い。

「遅れて来たのに、特等席を占領しちゃってごめんなさい」

「それじゃ、全員揃ったところで、あらためて乾杯と参りますか?」

 課長の音頭で、みんながグラスを持ち上げた。

「乾杯!」

 あちらこちらで、チリンと音を立てるグラス。

 私は手の届く範囲の仲間とグラスを合わせた後、最後に右隣りに座っていた前
田くんと乾杯した。

「リーダーお疲れ様です」

「お疲れ様。それじゃ頂きまーす」
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