トキトメ
 何とか苦痛な時間をやり過ごし、無事商談を済ませた私達は会社に戻った。

「お疲れ様でした」

「塚田さん、今日はありがとうございました」

「いえ。僕1人の力じゃありませんから。また機会があれば、お力を貸して下さい」

「私で良ければいつでも」

「では、事務処理の方はお任せします」

「わかりました。そちらが私の本業ですから。私ももっと塚田さんみたいにトークが上手ければ・・・。尊敬しています」

「光栄です。まあ、だから営業してるんですけどね」

「適材適所ですね」

「それではまた」

 彼は車を入れに車庫の方へ走り去った。

「戻りましょう」

「律ちゃん、すごく疲れているように見えるけど?」

「あのエロおやじ、いつかぼっこぼこにしてやる」

「えっ?」

「私、あの部長、大嫌いなの」

「俺も。あいつ、ちらちら律ちゃんを見てたでしょ?」

「気づいてた?」
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