トキトメ
「ただ今戻りました」

 私と良くんは、早速課長に報告しに行った。

「お帰り。で、どうだった?」

「上手くいきました」

「そうか。よくやった。それじゃ、契約に必要な書類、川口に準備させてくれ。最終チェックはお前に頼む」

「わかりました」

「あー、それから、前田も川口に付いて、書類の書き方と流れを勉強するように」

「わかりました」
 

 
 5時半になった。

 まだ新人の良くんは、それ以上残業する仕事も無く、留まる理由を探すのは困難だった。

「前田くん、先に上がっていいわよ」

「リーダーは、何時頃まで仕事されるんですか?」

「七時頃かな」

「そうですか」

 そう言うと、彼は回りを見回し、私に顔を近づけて来た。

「先に帰って夕食の仕度しておくよ。終わったら電話して。駅まで迎えに行くから」

「わかった」

「それじゃ先に帰ります」

「お疲れ様」

< 56 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop