トキトメ
 家に戻った俺は、炊飯器のスイッチを押すと、買ってきた材料をテーブルの上に広げた。

「よし、今日はビーフシチューだ」

 10代の頃から1人暮らしをして来たので、料理はわりと得意だ。 

 今までは、自分で作ったものを1人で食べるだけだったけど、愛する人の為に作るって、こんなに幸せに思えるんだな。

 律ちゃんは残業が多いから、これからも夜は何か作ってあげよう。

 料理もある程度完成し、時計を見上げると既に7時を回っていた。

「遅いな・・・」

 メールを入れる。


 律ちゃんまだ会社?


 しばらく待っても返事は無かった。

 俺は、車の鍵を手にすると駅に向かった。

 駅前のロータリーで彼女を待つ。

 改札を出た人の流れが消えても、彼女は現れない。


 今どこ?


 再びメールを送る。それでも返事は来なかった。

「何かあったんじゃ・・・」

 そこに、彼女が現れた。
 
 その横には、男性が立っていた。
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