トキトメ
 
 ~律子side~

「それじゃ塚田さん、私はこれで」

「あなたと同じ駅だったとは、知りませんでした」

「時間帯が違いますからね」

 残業を終えた私は、いつものように電車で家に向かっていた。

 電車のつり革につかまって、ぼーっと流れ行く景色を見ていたら、隣に誰かが近づいて来た。

 それが、塚田さんだった。

「今日はご一緒出来て良かったです。あの宜しければ、近くで食事でもいかがですか?」

「すみません。家で待ってる人が居ますので」

「どなたかと、一緒に住まれているんですか?」

「俺です」

「良くん!」

「あはは、やっぱり君か」

「えっ?」

「社内での感じが、普通じゃなかったから」

「えっ?」

< 60 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop