トキトメ
　高校生の時、ほんの少し付き合った彼氏がいた。

　本当に彼氏と呼んでいいのかさえはっきりしないくらい短い付き合いだった。

　彼はいつも私を束縛し、クラスメイトの男子と話しているだけでも嫉妬した。

　１週間が過ぎ、土曜日に初デートをする事になり、私はおしゃれをして彼の家に出かけた。

　あの頃の私は男の子がどういうものだかわかってなかった。

　彼の家を訪ねると、家には彼以外には誰もいなかった。

　お母さんはどんな人だろう？

　上手く挨拶出来るかなとドキドキしていた気持ちが、一瞬で不安変わった。

　今までも、何かというと頭を叩かれたり、暴力を奮われた。

　２人っきりの空間で、彼が怒るような事を言ってしまったら、きっと学校で叩かれるくらいじゃ済まない。

　そう思うと緊張で笑顔が出なくなった。

　それでも、最初はたわいのない話で笑顔を見せていた彼が、急に私をベッドに押し倒して来た。

　私は恐怖で体が強張る中、こんな人に私の初めてを捧げたくないという一身で抵抗を続けた。

　次々と涙が溢れて頬を伝う。

　もう駄目だと思った時だった。

　帰宅した彼の姉が、私を救ってくれた。

　
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