トキトメ
 持って来た書類に目を落としていた彼の目が、私に向けられるまで、私、じっと塚田さんの顔を見ていたみた
い。

 別に意識して見ていたわけじゃないけど、目が合うとドキリとした。

「バッチリです」

 一通り書類に目を通した彼からOKをもらう。

 この時が一番緊張する。

 塚田さんからダメ出しされる事はあまりないけど、何か指摘されると結構凹む。

 みんなは気づいていないかもしれないけど、私ってけっこう小心者だし、傷つきやすかったりもする。

 リーダーというのは名ばかりとは言ったけど、それでもそういう姿をさらけ出すのはいけない気がして、無理してる時もある。

「良かった・・・。では、私はこれで」

「あっ、ちょっと時間もらえますか?」

 立ちかけた腰を戻す。

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