彼の言葉は。
──

季節は夏真っ盛りでこの日当たりのよい公園には日傘をさしたカップルがたくさんいた。



あたしたちもよくああやってここでデートしたっけ。


懐かしい、な。



「今なにしてんのかなー」


あたしのこと考えてくれてたり?

…なんて、あるわけないか。



でも、あたしも成長したと思う。


彼のいない、現実を受け止め、彼にまつわる冗談だって心の中でなら言えるようになった。


昔は思い出す度に涙が溢れていたのに。



「会いたい…なあ」

手を伸ばして太陽にかざしてみせれば、なんとなく、太陽が近く感じた。



でも、そんなほのぼのとした空気も束の間で…


「誰と?」





「えっ!?」


後ろから聞こえたその声に固まってしまう。


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