彼の言葉は。
「い、いけど…」


あたしのその言葉を合図に彼は急に真剣な顔つきになる。


何言われるのか…怖い。



「…俺が、行く前に言ったこと…覚えてる?」


「…え?」


もちろん覚えてる、けど。
あたしがこの3年間、その言葉を頼りにしてきたわけだから忘れるわけがない。


でも、状況が読めない。




「やっぱ覚えてないか」


あからさまにガッカリした彼を見て、あたしはちがうちがうと一生懸命弁解する。


「覚えてるよ?」


「ほんと?」


「当たり前」



彼は一瞬、ほっとした表情を浮かべたが、あたしにはまだ何がなんだかさっぱりわからない。



そして、また真剣な表情に戻って、口を開いた。


「じゃあさ…

待っててくれた?」




「…、」


あたしは、なんて答えればいいのかな。



もう、3年だ。


あたしは今でも彼を想ってるけど、彼にしてみたら新しい彼女ができてるかもしれない。


あたしが待ってた。と言えば彼はきっと責任を感じてあたしとヨリを戻すであろう。



そんなのは絶対に嫌だ。



「あ、彼氏とかいるんだったら正直に言っていいから」


ほら、もう三年前だしさ。

なんて痛々しく笑う彼。



…これは、どう受けとればいいの?



期待して、いいの?


自分の気持ち伝えていい?


でも…



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