彼の言葉は。
本当は、聞きたくないよ。


でも…真実を受け止めなきゃいけないんだ。


意を決して彼の言葉を待つ。




「だって、勝手すぎた。
自分からいなくなるのに、待っててなんて都合いいこと…

それが、重荷になるんじゃないかって。

邪魔になるんじゃないかって」

彼は、そう言った。



違う。


あたしは首をぶんぶんと振る。


そのあたしの行動に彼はフッと笑って続けた。



「好きの気持ちが強ければ、相手のことを重荷になんか感じない、よな。

違う…?」


「…そう、だね」


勝手だとは確かに思ったけど、それを重荷になんて感じなかった。


待ってて、という言葉。


それを信じていたから、今までやってこれたんだ。



「だからさ…?

結婚…してくれますか?」

はにかんだように笑う彼は、昔と変わらなかった。



…きっと答えは最初から決まってたんだ。


ただ、それを口に出すことを恐れてた。



でも、恐れる必要なんて本当はなかったんだね。


「…喜んで!」







―fin―


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